糖尿病は糖代謝の故障、GTFそしてクロム

糖尿病とインスリンの関係を復習しましょう。

インスリンの働きをもうちょっとだけ詳しく調べてみると興味深いことが分かります。インスリンは、単独では役目を果たせません。各細胞と結合して初めて、役割を果たすのです。

インスリンの働きを説明するに当たり、鍵と鍵穴の例を使いましょう。

インスリンが鍵で、細胞の表面にある、インスリン受容体（レセプター）と呼ばれる部分が鍵穴になります。

インスリンという鍵が、細胞の鍵穴に差し込まれると、いわば細胞のドアが開きます。そのドアが開くので、そこからブドウ糖が細胞内に入っていけるようになります。

この状態になって、細胞が栄養の供給を受け、我々は元気になれるのです。この連携プレーが順調に行われていれば、正常な血糖値がたもたれます。

このように、インスリンと各細胞の表面にある、インスリン受容体が協働作業することにより初めて、人間の身体が正常に機能することが可能となります。

つまり、ブドウ糖が吸収され代謝され細胞を活性化させるのです。

そのインスリンとインスリン受容体を結合させ、扉を開くようにさせている成分がGTFなのです。

GTF（グルコース・トレランス・ファクター、「ブドウ糖耐性因子」）が、インスリンとインスリン受容体が細胞内で互いに引き合うようにさせ、結合力を高めていることは説明しました。

このGTFの存在自体はずっと前から知られていました。

GTFはアメリカで1957年に発見されました。アメリカの農務省の人間学栄養研究所の理事をしていた、ウォルター・メルツ博士が、豚の腎臓から発見したのです。

GTFの働きをざっと見てみましょう。

GTFは、インスリンと細胞膜上のインスリン受容体との結合を助けます。GTFがなければ、インスリンとインスリン受容体は結合できません。

結合しないということは、扉が開かない。扉が開かないということは、ブドウ糖が細胞の中に入れない。

中に入れないと、細胞にエネルギーが与えられないだけでなく、ブドウ糖は血液中に余る。ブドウ糖が血液中に余るということは、高血糖になる。

高血糖が続くということは …… 糖尿病になる。

これが糖尿病の発病の原理です。

つまり、糖尿病のカギを握るのはGTFです。

糖尿病の原因：GTFの不足です！

かつては、糖尿病の人は、インスリンの量が足りないと考えられていました。しかし、どうやらそうではない、ということに最近気付くようになってきました。